中垣病院 古川美盛院長へのインタビュー

物忘れ外来について

超高齢化社会になって、地域の方がなるべくその人らしくいきいきと生活してほしいという思いで、当院は、地域に根差した病院をめざしております。収容型ではなく、地域や居宅で生活していただけるように診断の上、各関係機関と連携を取って、お手伝いをしていきたいという思いがあります。なるべくご本人の地域での生活を支えていきながら、ご本人やご家族が少しお困りになった時に速やかに入院で対応し、よくなった上で在宅に戻ったり、施設をご紹介するということを行っています。

診療科目:精神科・神経科・内科・歯科
診療時間:平 日 8:50~12:0013:00~17:00
土曜日 8:50~12:00
住  所:札幌市手稲区金山1条2丁目1-6
電  話:(011)682-3011

Q1. 家族が気付くポイントと受診のタイミングはどのような事がありますか?

1、数分前の出来事を忘れてしまう。予定を忘れる。 2、性格が変わる。 3、日時があいまいになる。 4、計画が立てられない。料理の献立を立てられない。 本人の様子が最近変わったと感じたら、簡単な健康診断と言って受診をすすめて下さい。早期診断・早期治療が大切です。 ご本人が拒否的な場合は、ご夫婦で受診されるとスムーズにいく事が多いです。「何ともないと思うけど、念のために一緒に受診してみない?」とすすめていただくのも一つの方法です。なるべくご本人の人格に配慮した意向の診察を心がけていますので、ご立腹される方はほとんどいません。 本人にかかりつけの病院がある場合は、受診後にかかりつけの先生に情報提供を行う事で、治療を依頼することもできます。

Q2. 施設入所を希望する場合どれくらい待ちますか?

その時の状況にもよりますが、地域の関係機関と普段から連携をしていますので、ご本人の症状に合わせて最適と判断される施設をご紹介しています。 グループホームは比較的早く入所できることが多く、1~2カ月程度、特別養護老人ホームの場合は介護度にもよりますが、数カ月程度のことが多いです。施設での入所までの間、在宅での生活が困難な場合は、当院にいったん入院して待機することも可能です。

Q3.どのような症状と治療がありますか?

初期の場合は記憶障害は認めますが、保たれている能力も多いため、進行を遅らせることが大切です。薬物治療によって1~2年前後は進行を遅らせることが可能です。認知症の場合多くはたとえ発症しても末期の状態になるのは10~15年後と言われています。それに加えて大切なのは脳のリハビリテーションです。運動やコミュニケーションが活発な方は脳が活性化し進行が遅れることがわかっています。デイサービスや地域の老人クラブ・健康教室に参加していただき、脳のリハビリテーションをぜひ行って下さい。 中期になると見当識障害といって、日時や場所があいまいになります。周辺症状(BPSD)と言われる精神的な症状を持つ方もいらっしゃいます。物をどこに置いたかわからなくなり「盗まれた」という妄想や不安・抑うつ・興奮・拒否などです。必要最小限の安定剤などの薬物治療に加えて、デイサービスやショートステイなどご本人の援助だけでなく、ご家族の休息も必要となっていきます。症状が強い場合は2~3カ月間入院治療を行う場合もあります。 末期になるとご家族のこともわからなくなったり、言葉の理解が悪くなり意思疎通が困難となっていきます。また身体的な機能も低下し、歩行障害からADLが低下し、寝たきりに近づきます。食事もむせるようになり、誤嚥性肺炎を繰り返すようになります。施設へ入所したり、入院したりして、「最後までその人らしく生活する」ことを目標に身体的なケアを行っていきます。

Q4. 入院すると薬づけで歩けなくなってしまうと聞いたことがあるのですが?

当院の場合認知症病棟で、多職種(医師・看護師・介護福祉士・作業療法士)による治療を行います。在宅と施設と比べてより安全な居住空間となっているため、入院すると安定剤などの薬剤を減量することが可能となり、ADLと認知機能を維持することを目標に治療にあたっています。入院後ADLが改善する方も少なくありません。日中はほぼ全員デイルームで作業療法に参加していただきます。

Q5. 入院したら一生退院できないと聞いたことがあるのですが?

当院の場合入院三か月後に約半数の方が退院可能な状態となっています。ご家族の希望で長期入院されている方も中にはいらっしゃいますが、ほとんどの方は退院されています。

Q6. 介護されている方へお伝えしたいことはありますか?

認知症の場合ご本人以上に介護されている方が健康であることが大切です。無理をせずに遠慮なく介護が負担な場合はおっしゃって下さい。適切なサービスをご紹介するだけでなく、「レスパイト入院」といって、ご家族の休息のために1~2カ月間といった期間を決めて入院することも可能です。また、施設入所までの間の入院も可能です。

Q7. 免許証返納の現状はどうですか?

何人かの方が適性検査後に警察からの指示により受診されております。専門医の立場から責任を持って診断を行っています。 なるべくご本人の人格に配慮して納得できるように診断結果を説明しています。「年齢的なこともあり、軽い脳の機能低下を認める」「申し訳ないが、専門医として免許は自主的に返納されることをおすすめします」などという場合もあります。 警察の方で免許取り消しの判断をされるよりは、自主的に返納した場合は公共交通機関の割引サービスが受けられたり特典があるようです。 医者の立場から、「申し訳ないんだけど、年相応の運転機能や脳の機能の低下が見られます。生活に運転が必要なことは十分に分かりますが、知った以上は立場上、自主的に返納されることをお勧めします。」その上でもう一つメリットがあります。自ら返納すると、市町村によってはタクシーチケットがもらえる場合があります。定期検査で剥奪になるとメリットがないですよと言うと、皆さん割と返納してくれます。  

誰もが年をとっていきます。親の事、自身の事。目を反らさないで、しっかり知識を持つ事が大切だと知りました。お話しをお聞きして、不安は減少し、勇気づけられました。まずは、専門医に相談する事が大切です。もっと身近に病院を頼って良いのではないでしょうか?       札幌ヤクルト販売㈱広報室 樋原